ここちよい私を探して ~乳がんになんか負けない

2014年7月、乳がんと診断されました。 全摘手術して、抗がん剤、放射線を経て、ホルモン療法真っ最中。 そして2016年、ようやく本格的に社会復帰! 楽しいこと、うれしいこと、これからたくさんありますように。

カテゴリ:乳がん生活 > 岐路

昨日の話の続き。

離婚後、
アラフォーの女がどうやって生きていこうか、考えあぐねた。
梅雨どき、ひとり、畳の上に大の字になって窓の外の雨ばかり眺めてた。
この数年間で世の中は大きく動いて変わっていて、
私の以前いた業界でも大きな変化が起きている。

私のキャリアは、まだ通用するんだろうか。
使いたいと思ってくれる企業なんて、あるんだろうか。
そしてその仕事で、これから一生やっていけるんだろうか。
それに、あのベンチャー企業の社長と顔を合わせるのだけは、絶対に避けたいし。

・・・。

離婚前、
「仕事もしてないし時間があるから、勉強したいことがある」とダンナに言って簿記の勉強を始めた。
簿記は経済活動のキホン。今後離婚して一人になったときのために、なにか準備をしておこうと思った。
うっすらと税理士を思い浮かべていた。
といっても、税理士業の知識なんてほとんど皆無。
税理士免許なら少しずつの勉強の積み重ねで取得できる、ってコトくらいしかしらない。

そのためには、まず簿記から。
でも、その簿記さえも全然知らない。
まずは簿記3級の問題集と電卓を買って来た。
近所の夫婦経営の会計事務所でアルバイトをした時期もあった。

まさか当時、ダンナは自分の嫁が、離婚後のこと考えてるなんて夢にも思ってなかっただろうね。
結構コワイおんな、だな。

簿記の勉強は楽しかった。
離婚した頃には、その知識も税理士試験を目指せるまでになっていた。
税理士になろう。
がんばって一生の仕事にしよう。
どれほどかの雨粒を眺め続けてそう決めた。

ある程度の規模のある会計士事務所を探して、昼間はそこでアルバイト。
夜は税理士講座で勉強。
そんな生活も1年ほど経っていた、そんなころ…。

やっぱり、

人は悩むんだな。
この仕事、ホントに一生できるほど楽しいか??
以前の仕事では、自分のした仕事が形になって出来上がっていく手ごたえが楽しかったんだよね。
いいものを作りたい。喜んでもらいたい。それが最大のモチベーション。

だけど経理の仕事は、ものが出来上がらないんだ。
学ぶのは面白いけど、仕事となると、物足りない。
安い時給で、講座通いの学費の捻出。この下積み生活がまだ数年は続く。
大学で経営を学んだことのない人間が、時間とお金を注ぎ込んだ、その後の税理士。
ほんとに、やれる???
そこまでの覚悟ある??? 

そんなウニ状態のアタマで、気晴らしに見に行ったのが、この阿波踊り。
暑い中の鳴り物の大きな音。
かっこいい男踊りと、なにやら色っぽい女踊り。

モンモンとした頭には、阿波踊りは強烈に響いた。
圧倒されて、自分のモヤモヤした気分に喝が入った。

「何をウダウダしてんだよ。いいじゃんかー! もぉ~アホかいな、自分!」

そういえば私が20代のころ、
取引先の企業の社長さんに「世の中に『こうしなければならない』なんてことは一つもないんだよ」って言われたことを思い出した。

私は若いころから、何かの考えに取り付かれるとなかなか切り替えができないタイプ。
この社長さん、零細企業の社長さんなんだけど、私にはちょいちょい声をかけてくれてた。
その頃から、がっちがちの石頭の私、ひどかったんだろうな。

そうだよ。「こうしなきゃダメ」なんてないよ。
もう一度リセットだ。考え直そう。


そんなコト思ったんだ。初めて阿波踊りを見ながら。
あの会計事務所をやめて、もう何年経つのかな。

そんな過去のことを思い出していたんだけど、
急に、何かの瞬間、今の現実に気持ちが引き戻された。

病気のこと。
仕事を撤退すること。
そしてこの、覆いかぶさってくるような孤独感。
目の前の群集が、一瞬で、涙で見えなくなった。


今年も夏のお祭りシーズン到来。
今日は、阿波踊り祭り。
阿波踊りは毎年見に行く。今年はおひとりさま。
今年もすごい人出。マスコミも来てるのかな。

人ごみを避けながら、見物ポイントを探して歩いていたら、ちょうどいいブロックが並んでるのを見つけた。
ほんとは上っちゃいけないのかな、と思いながらも、膝くらいの高さを上る。
よっこしょ。ナイス!

踊る阿呆に見る阿呆。
私も踊る阿呆になってみたいなー、練習大変なんだろうなー、なんて思いながら見ていたら、
阿波踊りを初めて見たときのことを思い出した。
初めて見たときは、本当に衝撃的にかっこよくて圧倒された。
丁度そのときは、離婚後にはじめた会計事務所の仕事のことで、色々悩んでいたころ。

話は、ずいぶん遡るけど、、、
今から15年前に結婚を決めたとき、それまで続けていた情報処理系の仕事をやめた。
自分から飛び込んだベンチャー企業だった。
それまでの自分のキャリアを、ここなら、業界でもトップレベルの領域へ磨きをかけられる。
そう思って、社長に自分を売り込んで入れてもらったベンチャー企業。

入社後2ヶ月目には、給料も大幅アップしてくれた。
認めてもらえたのがうれしくて、モチベーションも更にあがった。
メンバーもそれぞれに専門分野があって、実力のある人たちで、交友関係も経験も豊富で刺激的だった。
かなりハードワークだったけど、面白かった。

でも、そのうち、問題も起きてきた。
ワンマン社長と意見が合わない険悪ムードが、社内に漂いはじめた。
実力のある人ばかりが集まると、うまくいかないのかな、そんな気もするけど。
その険悪ムードは、大きな台風へとあれよあれよという間に発達。

こなさなきゃならない仕事は山ほどあるのに、
それよりもなによりも、ここへ来たときに、したかった仕事が山ほどあったはずなのに。
腹の奥に隠しきれない妬み・嫉みを滲ませて、相手の目の奥を覗き込むような視線の交差を感じながら過ごす。
疲れ果てた。
もう「やりたかったこと」なんて忘れちゃった。

そんな毎日を送っていたとき、「結婚しよう」と言ってくれる人の言葉に逃げ場を見つけて、私は仕事をやめた。
そのベンチャー企業はその後、次第に崩壊路線へと突き進み、メンバーも全て入れ替わり、今では若手の構成に一新されたらしい。

知り合って2ヶ月しか経っていない人との結婚。
相当疲弊した脳みそが正常な判断を下したとは思えない。
そんなの、長く続かなくても不思議じゃない。
一緒に暮らすようになってはじめて、相手がどういう人なのかが見えてきた。

私は、なんとまあ軽薄に、人生の一大事を決めてしまったことか。
大バカ。
結婚生活は3年で幕を閉じた。


話が長くなっちゃいそうなので、続きはあした。<(_ _)>


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